スポーツ小説~サッカー編~

その他

 昨日は“野球”を題材にして、スポーツ小説のショートショートを書いてみました。

 その中で、思ったことがありまして……
 それが以下になります

  • 一人称で書くのが難しそう
  • カメラの切り替えが難しい
  • 台詞をどこで挿れる?
  • 用語は読者が知っている前提

 いきなり全てを実験するのは大変なので、順番にやっていきましょう。
 というわけで、今日は“サッカー”を題材にして、“一人称”で書いてみたいと思います!

とりあえず書いてみる

 そのときだった。ボランチくんが相手ミッドフィルダーからボールを奪い、速攻を仕掛ける。僕は右のサイドを駆け上がった。左サイドはストライカーくんが駆け上がっている。相手のディフェンダーは僕より、ストライカーくんを警戒したポジショニングだ。
 「こっちだ!」
 僕は叫んだ。広いフィールドに響き渡らせようとしたが、観客声援がその声を掻き消してしまう。右手を上げ、ボランチくんにパスを求めた。レギュラーのストライカーくんと違って、僕はベンチメンバーだ。チャンスは多くない。同点で迎えた後半38分、チームメイトが脱水症状になって訪れた出番。不謹慎だが、僕にとっては神が与えてくれた幸運だ。
 「ボールッ!!」
 僕はもう一度叫んだ。ストライカーくんにはディフェンスが二枚つこうとしている。それに対して僕につこうとしているディフェンスは一枚。この状況でも、ゴールできる確率はストライカーくんと変わらないだろう。それでも僕がポジションを掴むためには、消極的になってはいけない。喩えボランチくんが僕ではなく、ストライカーくんで勝負することを選んだとしても、僕は叫ぶ必要がある。
 だが、内心はストライカーくんにパスを出してほしいと思っている。ストライカーくんにパスが出されれば、少なくとも僕はミスをしていないことになる。マイナスの評価にはならない。そんなことを考えていると、「主人公っ!!」と叫んだボランチくんがボールを蹴った。ストライカーくんではなく、僕に向かって蹴ったのだ。
 ボランチくんのパスは僕の走るコース上にピンポイントで、僕はスピードを落とすことなくパスを右足でトラップした。ディフェンスは完全につけていない。今ならゴールキーパーとの一対一に持ち込める。僕が勝負を決意したとき、もうゴールキーパーは目の前に迫っていた。反応が早い。スライディングし、体全体で僕のシュートを防ごうとしている。僕の右足はすくんでしまった。
 力なく浮いたボールは右のボールポストから数センチ外れ、金属音がすることなく芝に落ちてバウンドした。スタンドから「あぁぁぁぁ……」という落胆の声が聞こえた。
 「しまった……」
 頭から血の気が引いていった。目の前が歪む。ストライカーくんでも勝負で来た状況で、僕に任された決定機。僕が求めた決定機だ。それなのに僕は勝負することができなかった。相手ボールでのリスタートが始まる前、僕はベンチを横目にした。監督はボランチくんを見ていた。シュートを外した僕ではなく、ボランチくんを見ていた。
 「監督は外した僕を責める気はない…僕で勝負したボランチくんを責めているのだ……」
 そう思った瞬間、足が止まってしまった。その横を駆け上がる相手のサイドバック。僕が呆然としている中、あっという間に僕のチームのゴールネットが揺らされた。そして無常ホイッスルが試合終了を告げたのだった。

 “野球”を題材にしたときは難しそうに思いましたが、意外と書けましたね。
 もっとも主人公の視点で全てが進行するので、これだけでは何とも言えない気もします。

 昨日とどちらが読み易いですかね?

 ちなみに私は“サッカー”より“野球”のほうが詳しいです。

終わりに

 語尾についてもやろうと思ったのですが、長くなりそうなので明日にします。

 次の題材はどのスポーツにしましょうかね?
 複数人の会話を入れたいので、プレー中に会話をするスポーツが適している気がします。

 まぁ、実際のプレー中にはしないような会話でも、作品中はしたりするので、
 そこはフィクションのリアリティを欠けさせても構わない特権ですよね

 では、また!

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